パラドックスとは

 

　物事が理屈どおりに進まないこと、日常生活でも使われるパラドックスという言葉。そもそもは「正規な」という意味の「オーソ(ortho)」に対して「並んだ、異なる」という意味の「パラ(para)」が、「意見」を表す「ドクソン(doxon)」と結びついて生まれたものだ。正統的意見である「オーソドックス(orthodox)」に対して、ちょっと横から斬り込んだ意見が「パラドックス(paradox)」であり、いずれもギリシア語が起源である。

　さて、このパラドックス。現在は「逆理、逆説」を意味しており、辞書を引くと「相互に矛盾する命題が、ともに帰結し得ること。また、その命題」と説明されている。だから、ちょっとしたトリックや、パズルのようなものは、本来のパラドックスではない。
　しかし、「直感的には正しく思えるが、実は誤りである論理」、「直感的には誤りに思えるが、実は正しい論理」なども、パラドックスに含める考え方もあるようです。

（by　心如）

――― パラドックス ―――
　ギリシア語のpara（反、超）＋doxa（意見、通念）の合成に由来する。〈背理〉〈逆理〉〈逆説〉と訳。一般に正しいと考えられていることに反する主張や事態をいう。レトリックとしての逆説的表現もパラドックスに含みうるが、通常はより概念的なもの、たとえばカントの二律背反（アンチノミー）、〈ゼノンのパラドックス〉、さらには〈エピメニデス（嘘つき）のパラドックス〉や〈ラッセルのパラドックス〉など論理的なものを指すことが多い。後2者の場合のごとく、パラドックスの解決が新しい学問領域を開く（論理的意味論、タイプ理論）ことも少なくない。
【関連項目】
　⇒詭弁
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【参考記事】
　『アキレスとカメ』（ゼノンのパラドックス）
　オールバースのパラドックス